心の問題


滝、可哀想だなって思った。
大人っぽいけど、少し子供で。俺の前では花がほころぶように笑って。
「ゲームセット。ウォンバイ宍戸」
人一倍頑張り屋で、プライドが高くて。
いつも必死だった。
そんな滝が落ちた。
「滝はレギュラーからはずせ」
監督の声に頷く跡部。
滝は目を見開いて、その場に崩れた。でもすぐ立ち上がって走っていっちゃった。
「滝っ!!」
俺は思わず名前を呼んで追いかけた。でも滝は止まってくれなかった。





ようやく部室の前で追いついた。レギュラー専門の部室。
思いっきり手首をつかんで俺のほうへ引っ張る。
「滝…っ!!」
「いやっ…離してジローっ!!」
滝が腕に力をこめて俺を突き放す。
「滝…」
滝は部室へ入っていった。レギュラー落ちした滝は荷物を準レギュラー用にうつさなくちゃいけないから。
俺も慌てて入っていく。
「た…」
「こないで…ジロー…」
声が少し上ずっていって、細い肩は震えている。
「滝…大丈夫?」
「……」
「ざ…残念…だったよね…」
かける言葉がわからない。
滝が俺の方に振り返った。
「ジローに・・・は、わかんな・・・いよ・・・」
実際、わからない。
「もう・・・公式試合に出れな・・・いんだ」
ずっとレギュラーから落ちたことは無い。滝だって今まではそうだったし。
「ごめん・・・。」
わからないけど謝る。
「なんでジローが謝るの?」
滝が不思議そうに聞いてくる。
「わかんない。」
正直に答えた。
「ジロー・・・練習戻れば?」
滝は言った。
「なんで・・・?」
「今、ジローがココにいる理由ないでしょ?」
「オレ・・・滝の傍に」


「どうしてっ!?」


滝が強い調子で言った。
「僕が可哀想だから?同情?」
「滝・・・。」
今、滝のプライドはズタズタなんだろう。オレが傍にいたら駄目なんだ。
「出てって。ジロー・・・。一人でいいから。」
「・・・滝・・・。」
でも、出て行けなかった。滝を一人にしたくない。
そっと、滝を抱きしめた。
「ジローっ・・・」


「泣いて?滝。」

オレの前でだけ。弱さを見せて。


「滝・・・。」
「っ・・・。」
額にそっとキスを落すと、滝の眼から涙が流れた。
「・・・ジロー・・・。」
「何・・・?」
「悔しい・・・っよぉ・・・っ。」
オレの胸に顔をうずめて。
「うん。わかってる。わかってるよ?」














夕方すぎまで滝は泣いていた。そしてそのまま疲れて眠っちゃた。 
――――――ギィ
部室のドアが開いて、入ってきたのは跡部だった。
後ろには他のレギュラー陣もいる。
でも、誰も何も言わないで、すぐ出て行ってくれた。
少し、嬉しかった。
「あとべぇ〜〜〜。」
「あ?」
「ありがとぉ。」
跡部はちょっと笑う。
「ばぁーか。世話かけさすんじゃねぇっつーの。」
「うん。」
滝はやっぱり眠ってて、いつもと反対の立場。
可愛いなぁって思う。
「カギかけとけよ。」
「うん。わかった。」
跡部は机の上にぶち角カギを置いて、出て行った。
また2人きり。
しーん。って静かな部室の中に滝の寝息が響く。
「たきーーー。」
「・・・・・・。」
「たきー。」
流石に遅くなるとマズイ。
滝の家って門限に厳しいし。
「たーきー。」
軽くゆすってみるけど、やっぱり起きない。
オレが寝てるときもこうやって困ってるのかなぁ?
「はーぎーのーすーけぇーーー。」
「・・・・・・。」
「はーぎー。」
滝のほっぺをむにゅーっとつまんで引っ張ってみる。
「はーぎーさぁーん?」
「ん・・・んん・・・。」
鼻をつまんでみたら、苦しそうに顔を顰めてやっと起きた。
「滝?」
「・・・ん〜ジロぉ・・・?」
ちょっとドキッとした。でもここはちょっと抑えて滝の頭をやさしく撫ぜる。
「帰ろう?滝。送ってくから。」
「うん・・・。」
滝がちょっと笑う。
そしたらほっとしちゃって眠くなってきた。
「はや・・・く・・・した・・・くかーーーーーー。」

そしてそのまま・・・眠ってしまった。






オレって馬鹿かも。でもさ、滝のことになると眠たくならない。

これってすごくねぇ!?

なんか記憶の向こうの方で滝が笑った気がした。

気のせいかもしれないけど。

可愛いなぁって思った。





・・・・・・・・・大好きだよ・・・滝・・・。






                E・N・D






▼あとがき▼
何だろう。何だろう。何だろう。
っつー訳で自分でもよく・・・わかりません(殴
終わりの方ビミョーですよね。
はい。すみません。
藍薙は滝さんが大好きです。
氷帝では3か4番目くらいです(低。
全然出番なくて悲しいのですが・・・。
とにかく滝さんとジローが絡んでるのを書きたくて、こうなりました。

お目汚し失礼しました。
それでは・・。


藍薙 維麻








                                                                                        (c)POT di nerezza A.Y I.A H.K  
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