たなばた

「ねぇ、神田。」 「なんだ。」 七月七日。 「今日は神田の国でのお祭りの日なんですよね?」 「あぁ、七夕か。」 「あ、はい。多分。」 「あれはコムイの国の伝説が元だったはずだ。俺に聞かずにコムイに聞け。」 神田は不機嫌そうアレンに言うと、そのままずかずかとひとりで歩いていった。 「何かあったんでしょうか?」 「うぅーん。神田君は織姫様がうらやましいからかな?」 「「「はぁ???」」」 神田は、ひとりで、歩いていた。 ―――一年に一度会えればいいだろうが! 神田は不機嫌だった。 いつもに増して。である。 どれくらいかというと、すれ違う人間がすべて神田を避けるほど。 暗黒のオーラが漂う。 神田がいつも会いたいと願う人は一年に一度もあえるかどうかさえ、わからない。 一年に一度、かならず会えるならまだ幸せだろう。 ―――畜生。なんでこんなに会いたいんだよ!! 自分自身に苛立って、思い切り壁を殴る。 ガァンっっっ!! 「ちっくしょぅ……。」 じわり、涙が浮かぶ。 そんなとき。 「なぁーにをそんなに怒ってるさ?」 それは聞き間違うことなどない。 大好きな、愛しい人の声。 ―――でも、まさか。 「……幻聴……?」 ―――聞こえるわけなんかないよな。 神田は頭を振ってまた歩き出した。 「ユ、ユウ!!」 慌てたような声が聞こえて、神田は強く腕をひかれる。 「!!」 神田は振り返り、ぱっと目を見開いた。 「ラ…ビ…。」 あんまり驚いて声がかすれてる。 それはずっと会いたくて仕方なかった、大切な人。 「久しぶりさ?ユウ。」 「ラビ…。」 涙が、溢れそうになる。 それをどうにかこらえて神田はラビの頭を殴った。 ガッ 「でっ!何するさぁ!ユウ!!」 「死ね。馬鹿。」 少し怒ったように言う。 それでもどこか声音は嬉しそうで。 ラビは神田を抱きしめる。 七月七日。 今日は、七夕。 今日は、素敵な日。 恋人同士の幸せな日。 ▼あとがき▼ あぁ。 残念ながら七夕に間に合いませんでした。 実際、藍薙は北海道の人間なので八月七日が七夕なのです。 だから八月にUPしてもよかったのですが。 うぅん。 とりあえず、一日遅れになりましたが、七夕企画です。 また駄文ですみませんでした。 それでは本日はこれにて。 藍薙維麻 (c)POT di nerezza A.Y I.A H.K
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