君の幸せは 僕の幸せ?

 僕の幸せは 君の幸せ?

 二人の幸せは 二人の幸せ?



 否



 僕らは 幸せにはなれない











     不幸せの方程式








 
 
 檜佐木修兵
 護廷十三隊 九番隊副隊長
 水羅朝羽
 護廷十三隊 九番隊第五席

 二人の関係は見れば歴然、上司と部下に他ならない。
 それ以上にもそれ以下にもなれない存在だった。
 そう。それ以下にも、それ以上にもなれない、ごく普通の関係だった。
 過去形で言うのは、これは過去の話で。
 もう二人は今までの二人ではいられなくなった。
 そう。それだけの話。

 『日常』という普遍の樹海に浮かんだ、『変革』という起爆装置がかちりと二人の間で爆発した。

 そう。
 ただそれだけ。

























 「副隊長」
 「なんだ?」
 「東仙隊長のお姿が見当たらないのですが…」
 「ああ…隊長なら狛村隊長と居るんじゃないのか?」
 「…そうですか。了解しました。失礼します」
 「ああ」
 普通の会話、だった。廊下で交わされる上司と部下の会話だった。
 でも、その中にある二人の想いに誰が気付けただろうか?
 気付けたのは、当事者だけだろう。ただ一方だけだが。
 「…はあ」
 修兵は人知れずため息を吐いた。それから髪を無造作に掻き揚げて、またため息をついた。
  …やっぱりそうか。
 自分の中で何かが納得して、その考えを首肯した。
 そして、何かが同時に切れた。

 ブツンっ―――――

 と、音をたてて。

 歯車は狂い始めていた。
 起爆装置のスイッチは、すでに押していた。

 気付かないうちに。

 
 
 















 その日。朝羽は修平に呼び出された。
 朝羽は何も疑問に思うことなく上司である修兵の要請に従った。
 時は子の刻。場所は、九番隊隊舎牢。場所に多少の違和を感じたものの、何か理由があるのだと思い朝羽はそこに向かった。
 確かに理由があった。牢に呼び出した理由。此処に夜中に呼び出された理由。
 何故、自分だったのかという理由も確かに、修兵の中にあった。
  そのときまで、気付かなかったけど。
 「副隊長」
 「来たか。水羅」
 「何の御用ですか?」
 早急に用を尋ねた。なんとなくそうしなければいけない気がした。
 修兵の雰囲気が明らかに、昼とは違う。傍にいるだけで声が出せずに、体が弛緩してしまいそうな威圧感。体に針のように突き刺さる視線。
  いやに優しい説き伏せるような声音と口調。
 「…刀は持ってこなかったな?」
 「…はい。そう言われましたから…」 
 疑問には、感じた。でも、抵抗はできなかった。それが、彼のもつ権力だから。
 逆らえない上司と部下の関係。それが、二人の関係。
 
 「持ってこられちゃ色々と困るんでな」

 にやっと笑ったその顔に背筋に冷たいものが走った。
 一歩引いたその瞬間、私はここに来たことを後悔した。ここに来てはいけなかったと後悔した。
  唇が塞がれていた。
 「んっ…?!」
 突然のことに身動きが取れなかった。有得る筈のないと思っていたその事態に体が固まった。
 思考は真っ白になり、そして再び開始された。

 ―――――何が起こってる?

 「…や、めて…っくださいっ!!なんのつもりですか!!副隊長!!」
 「何って、わかんない?」
 「わかりません!!」
 「お前のことが好きだから」
 「…は…?」
 どうしてその想いとこの行動が結びつくのか、理解できなかった。
 『好き』なら『好き』と言えば、自分だってそれ相応の対応を取った。

  たとえ、その気持ちに応えられなくても。

 「お前は、東仙隊長のことが好きだから」
 「…っ!!」

 頬が、頭が、手が、体全てが、熱くなる。

  知られていた。

 「なんっ…で…知って…?」
 「…お前のこといつも見てて、気付いた。それでわかった。伝えても俺の想いは叶わない事に」
 それは、事実だった。確かに、修兵の想いを朝羽は受け入れることは出来ない。
 朝羽は東仙要が好きだから。すでに想う人が心にいるから、受け入れることは出来ない。
  そして、修兵は。
 「だから、思い立った。お前の思いを東仙隊長が受け入れてくれるとは思えない。
 だから、お前は俺のモノにする」
 ついに、訳がわからない。理解しがたい。
 戸惑いを超えて、それは怒りにいった。
 「訳がわかりません!!それでどうして私が貴方のモノにならなくてはいけないんですか?!副隊長と言えど横暴過ぎます!!
 確かに私の想いを遂げることはできないかもしれません!でも、私は想うだけで幸せなんです!!あの方の下で…働けることが幸せなんです!!
 ささやかでも…傍にいれることが…私の幸せなんです!!!」
  多くは望まない。そう決めていた。
  想いに気付いたあの日から。
 「…副隊長は、こんな人じゃないと思ってました。力なんかで欲しい物を手にするような人じゃないと…東仙隊長のような誠実な方だと思ってました。
 わたしの買いかぶりだったようですね。幻滅しました」
 冷たい口調でそう言い放った。怒りで感情が直球になってる。理性が言葉を抑えようとしない。
 「お前の幸福論じゃ、俺はシアワセにはなれないから」
 修兵は冷笑を浮かべ、朝羽を引き寄せ床に押し倒した。
 「離して…っ!!あたしは貴方のモノになんかならない!!」
 「いつまでそんな口きけるかな」
 解いた帯で手首を拘束し、袴を剥ぎ取った。綺麗な白い脚が姿を覗かせた。
 「ひゃっ…」
 冷たい外気に触れた所為か朝羽は小さく体を振るわせた。脚を堅く閉じいまだ抵抗を諦めてはいないようだ。
 修兵はかすかに眉を顰める。
 「抵抗するんなら、優しくはしないぞ?」
 「…こんなことしてる時点で貴方は十分優しくないです。今ならやめれるでしょ?離してください」
 眼光もいまだ衰えない。流石とも言うべきなのだろうか、だがそれは修兵の欲情をそそるだけだった。
 いまだ男を知らぬ朝羽には到底そんなことに考えは及びもしなかった。
 「やめるかよ」
 「…っ!!やっ…!」
 無理矢理脚を抉じ開け、その間に体を割り込ませる。そして自らの袴を下ろし、慣らしていないそこに容赦なく勃起したそれを挿入した。
  痛みが、襲う。
 「やっ?!あぁっ!?!」
 初めてのモノを受け入れる準備を何もなされないまま挿入され、処女膜は破れ血が太腿を伝う。
 腰がガクガクと震え、痛みによる涙が頬を伝い、不本意に行為をしている自分が情けなかった。
  こんなはずじゃなかったのに。
 痛い。痛い。
 「痛いっ…抜いてっ…!!」
 「馬鹿言うなよ」
 にやりと修兵は笑う。そして、腰を掴むと激しく律動を開始した。
 濡れきっていない其処で動くことは修兵にとってもつらいことだが、それを気にせずにどこか嬉しそうに修兵は腰を動かす。
 対して朝羽は慣れない其れに悲鳴にも似た喘ぎ声を上げた。
 「ひぃっ!!やっやだぁっ!!うごか…いやぁぁぁぁあ!」
 蠢くそれに圧迫感を感じ、気持ちいいと聞いていたそれとはあまりにもかけ離れているものだった。
 血が少しだけ潤滑油の役割を果たし、奥まで突き立ててくる。追い立ててくるその感覚に体が熱くなるのを感じた。
  こんなの違う、違うよ。
 心はそう叫んでいても、体はやはり素直らしい。痛みすら時間がたてば快楽へと変貌する。
 「うぅっ…う、あぁぁ…ひっ…」
 「もうちょい色っぽくなけないのか?」
 「ひゃぁぁぁああ!!」
 膣内に精が放たれたのと同時に、自分の中でも何かが達してしまったようで、ふっと開放感に満たされた。
 熱いものが広がる感覚になれなくてその開放感もすぐにかき消されてしまった。
 「…っふ…ぬい、てぇっ…。いやぁ…っ」
 「何が嫌なんだよ?こんなに締め付けてるくせに。なぁ?淫乱」
 「いやっ…!!」
 頬は行為の所為で真っ赤に上気し、痛みと恥辱から涙で濡れている。とてもそれが扇情的で修兵を煽るだけだった。
 今放ったにも関わらず修兵のはまた大きくなる。
 「っ!!?やだっ抜いてっ!!いやっ!!」
 痛いのはいやだった。この圧迫感はやはり嫌だった。一刻も早く逃げたい。たとえこのことを誰かに言えなくても、逃げ出したかった。
 先のことより今のことだ。
 「五月蝿い口だな…」
 修兵は思い立ったように自分の帯で朝羽に猿轡としてそれを噛ませた。
 「んふっ…?!」
 「少しは黙ってろよ。直に気持ちよくなるぜ?」
 「んっ…!!」
 朝羽の目に映る修兵は、『恐怖』の対象に他ならなかった。












 「…っ!っっふ・・・!!んぅっ…」
 あれから何度イかされたかわからない。とにかく顔は涙でぐしゃぐしゃで、下もぐしょぐしょだった。
 血と精液が交じり合った薄桃色の液が太腿を伝い、打ち付けられる度に卑猥な水音を立てた。
 猿轡を外してはくれなくて声はくぐもったまま、あれから目隠しもさせられて感覚が鋭敏になるばかり。
  自分は今どんな姿かなんて想像もしたくない。こんなとこ見られたら、どうしよう。
  死んで、しまいたくなる、だろうか。
 「…っ」
 「…っふぁ!!」
 また放たれた精。熱く中で広がり、溢れ出す。
  もういい。もういい。早く早く、帰りたい。
 何を思ったのか修兵は目隠しと猿轡を朝羽から取った。
 上気した頬、濡れる頬、頼りない瞳、それでもいまだ抵抗を見せる瞳。
 乱れた体、乱した体、傷つけた心。
  全て、愛しい。
 舌を絡めキスをすると、朝羽は修兵の舌を力なくも確かに噛んだ。抵抗をした。
 「…や…だっ…」
 「…まだ抵抗すんのかよ」
 「…帰して…っ。やだ…っ東仙隊長…っ隊長…っ!」
 泣きながら愛しい人の名を呼ぶ朝羽。体を汚されても心を乱されても、想う。名を呼ぶ。
  それが、気に食わなかった。
 「んっ?!」
 キスとは到底呼べない代物だった。むしろ噛み付くような言葉を遮る為だけに口をふさぐだけのものだった。
 「気に食わない」
 「…な、に…」
 身を竦めて修兵を見た。霊圧が研ぎ澄まされて体に圧し掛かってくる。動かない体がそこに固定されて、どうにもならなかった。
 恐怖で捕らえられた。
 「っや…!!」
 体を反転させられて床に頬を擦り付けるような体勢になり、短く鍔鳴りがすると肩口に刀を突きつけられた。
 「っぁぁああ!!?!」
 刀はすぐに抜かれて、抜いた瞬間返り血が修兵の頬にかかった。
 「ああ…っあ?…いぁぁあ…」
 血が流れているのが見える。血を止めるものはなにもなく止め処惜しみなく流れる。
  何が私から流れているの?
 真っ赤な虚からは流れることのないモノだ。自分から、自分と同じ仲間から流れてくるものだ。
  ああ。血だ。冷静にそんなことを思ってしまった。

 ナ ン デ ?

 「血を流しても四番隊はここにこない。叫んでも誰も助けにこない。名前を呼んだって東仙隊長はここにこない。
 わかってて、まだあの人の名前をお前は呼ぶのか?」
 声が怒っている。わかる。霊圧が、雰囲気が、そう言っている。怒っているのだと。降参しろ、と。抵抗するな、と。
 俺のモノになれ、と。
 「わか…ん…ない…なんで…なんでですかぁ…っ」
 負の感情から朝羽は泣き出した。もう涙なんて出ないほどに泣いているのだし、これ以上搾り出したら体中の水分が抜けてしまうだろう。
 それでも、構わなかった。
 「あたしがぁ…なに、を、したって…言うん、ですかぁ…っ!」
  それがわかるまで、私は叫ぶだろう。助けを求めるだろう。救いを請うだろう。
  アタシガ ナニヲ アナタニ シマシタカ ?
 修兵の顔は見えない。見る事は叶わない。でも、それでよかった。顔なんてみたら駄目になる。
  負けて、しまう。
 「お前は東仙隊長ばかり見てた。入隊してから一度だって俺を見たことはなかっただろう?隊長のことは『東仙隊長』と呼んでも俺のことはいつも『副隊長』だった。
 悔しい、俺はお前が好きなのに、お前は俺を見ていない。
 俺はお前を違って見ているだけじゃ幸せにはなれないんだよ。傍に居るだけじゃ駄目なんだよ。
 お前の体も心も俺のモノにしたい。それが、俺の幸せだから」
 「…自分が…幸せなら…それでいいの…?」
 「ああ。所詮世界は自分中心に回るもんだろ」

  アア 心ガ クズレテク コワレテク

 「だから、俺に全てを捧げろ。朝羽」

  アア 涙ガ トマッテク ナガレナクナッタ

 「愛してる。ずっと愛してる」

  アア 愛ガ ミチテイク アフレテク

 血が流れてることに加えて今までの出来事の所為ですでに思考はまともになど回っていない。
 もう考えることが面倒になってきてしまっていた。
 ああ、ならもういいか。この人の元に、手の中に、胸の中に

 「…うん」

  堕ちてしまおうかな。























 君の幸せは 僕の幸せ?

 僕の幸せは 君の幸せ?

 二人の幸せは 二人の幸せ?



 否



 僕らは 幸せにはなれない

 

 すれ違う気持ちのまま幸せになんてなれるはずなかった

 二人の関係は崩れて もう 元になんて戻らなかった




 体だけの壊れた歪な関係

 かろうじて二人を繋げていた












 あとがき。

 3636HIT感謝!!
 
 リクエストは夢小説で裏!!お相手は九番隊副隊長檜佐木修兵。
 …鬼畜夢…と、いうことで。はい。
 鬼畜夢?になってしまいました。ああ。ごめんなさいっ!
 一応、処女を無理矢理奪ってしまうという…そういう設定を、勝手に。
 こんなつたない文章でよろしければ捧げます!
 あ、苦情は受け付けいたしまする…。

 BLEACH夢初挑戦。奮闘しました。

 再び感謝☆では。


 夜月 哀那




 





                                                                                       (c)POT di nerezza A.Y I.A H.K  
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