「暇」
と、一言呟いて、始めたのは命がけの鬼ごっこ。

 ある昼下がり。そんな時。









       真昼の鬼ごっこ










「キュラーちゃぁん、ガレアノちゃぁーん。あそぼーぉよーぉ」
「・・・は?」
「・・・・・・・・・」
無反応にも等しい態度にいらだつこともせず、二人の服の袖を引っ張るビーニャ。
生憎レイムは留守にしており、ビーニャが暇なのも仕方がない。

・・・仕方がない、のだが。

「断る」
「同じく」
「なんでよーぉ!!遊んでよーぉ!!暇じゃない!!」
アザラシのような召喚獣を頭に乗っけて、ビーニャは二人に遊びをねだりつづけた。
「いいじゃないのぉ。あそぼぉよぉ」
「・・・ビーニャ」
「なにさぁ」
「遊びというのは具体的にどんなことですか?」
「んー、そうだねー」
にこり、と悪戯っぽく笑うと
「壮絶命を懸けたトレジャーハントかぁ、実物大ダーツかぁ、あとはねぇ、崖の上からバンジーとか?
んとねんとねぇ、灼熱マグマにダイビング!!は?」
「却下です。力いっぱい却下します」
キュラーが若干青ざめた顔で言った。ビーニャはなんでよぉ?と首をかしげた。
「死なない程度に楽しみだけじゃぁん」
「死んだらどうしてくれるんですか」
「どうもしないよぉvv」
笑顔でそう言われた。頭に乗っけていたアザラシのような召喚獣を頭の上から下ろし、”んふふ”と笑ってきゅうと抱きしめた。
「ガレアノちゃんはぁ?」
「・・・却下だ。命を懸けることはしたくない」
「ぶぅ・・・もう仕方ないなぁ」
そう言って、くるりくるりとステップを踏みながらどこからかナイフを一本取り出した。
「二人が、参加してくれないならぁ・・・」
にこりと笑い抱きしめていた召喚獣に、躊躇いなくぐさりとソレを刺した。すると、召喚獣は緑色の光を放って消えた。
「これよりももぉぅっとひどいことしちゃうんだからぁvv」
笑顔が怖い。尚怖い。笑顔だからこそ、その言動も行動も全てにおいて恐怖を象徴していた。
お互い悪魔同士。しかし、同朋の消しあいは血が塗れるほどにすさまじいだろうと、心の中に警告が走る。
同時に、ビーニャならやりかねんと、心が言っていた。
「「・・・や、やらせていただきます・・・」」
「やったvv」
にこりと笑む彼女の顔は本当に楽しそうだった。
対してもともと血色のよくない顔がさらに悪くなっている二人がいた。


















「・・・おや?」
ゼラムから用事を終えて帰ってきたレイムが見たのは、家の外に放り投げられたガレアノ。
相当のびていて白目は剥いてるは、体は傷だらけだは、血が滲んでいて今にもあの世に逝ってしまいそうだった。
「おやおや・・・」
家からは騒がしい音が聞こえてくる。
 高笑いと、叫び声。
中でやっていることな容易に想像できた。
「また何かをやらかしたんですね・・・あの子は」
どこか面白げに呟いて、ガレアノを爽やかに無視をし、家へを歩を進めた。





















「ほーらほらぁ?逃げないとぉ、踏みつけちゃうよぉ?」
「ビーニャ!!貴方には容赦というものがないのですか!!」
「ないよぉ?ついでに、同情も情けも戸惑いも躊躇もありませーん♪仲間だろうとぉ、手加減なし!!」
「・・・っく」
「ほーらほらぁほらぁ。つっかまっちゃうよぉvv」
心底楽しそうにビーニャは言った。家の中で、アザラシのような召還獣の大群の上に乗って、キュラーを追いかけながら。
つかまる、そういうレベルの話じゃない。それどころでは済まされない。
確実に、転ぶか踏まれた瞬間に大群の餌食になり、アザラシが山のように自分に降りかかってくることだろう。
「大丈夫だよぉ?殺さないからぁvv」
「殺す殺さないじゃありません!!」
「キュラーちゃんは友達だしぃ?」
「下僕の間違いではありませんか?!」
「え、よくわかったねぇ♪」
「わかります!!」
「ガレアノちゃんも災難だったよねぇ」
「貴方の所為です!!」
「きゃははははははははははは♪」
いつもの調子で軽く笑いながらキュラーを追い掛け回す。
いろいろと反抗したいところだが、あとのことが怖いので逃げることに専念をする。
踏まれないように。
つぶされないように。

 いろいろと必死である。


 「必死だねっ♪」
 「誰の所為ですか!!」


 死なない程度に、ビーニャを怒らせない程度に。


「あきゃはははははははははははっはははっ♪」
なんだか楽しそうに笑って、依然変わらず追い掛け回している。
逃げるキュラーは必死も必死。
「ねー、逃げてちゃーつまんないよぉー!!」
「あのですねぇっ!!だったらこんな壮絶(一方的)鬼ごっこやめませんかっ!?」
「いーやー。楽しくないじゃんっ」
「・・・あーあ・・・」
「もーう、つまんないなぁ。ねぇねぇ、特大追加していーい??」
「やめてくださいっ!!」
「もうムリ〜♪召・還!!」
血の気が引いた。依然にこりにこりと笑った顔のビーニャが心底うらめしい。

直後、

頭上から通常サイズの五倍はあるであろうかと思われるくらいのアザラシ召還獣が降ってきた。

「潰されちゃえvv」

悪魔の顔してビーニャが笑う。

キュラーの頭にぶつかるか否かという時に



「こらこらいけませんよ(爽)」



来た。




 「レイムさまぁーーーーー!!!」




たす・・・かった・・・。
キュラーが倒れる。
どでかい召還獣はいつのまにか送還されていて、見事な青空が見える。
 丸い空だ。



「レイム様〜、レイム様〜、寂しかったぁ。寂しかったぁ!!」
「よしよし。で、ビーニャ」
「ん?」
「これはいったいどうしたんですか?」
「えぇ?」

レイムに抱きついているビーニャが無邪気に首を傾げる。
ビーニャたちが居る部屋は、壁は傷だらけ、床は召還獣だらけ、しまいには、さっきだしていたどでかい召還獣の所為で、
天井が丸くキレイに抜けている。
切り取られた丸い青空が覗いていた。
レイムはにっこりと笑う。ビーニャもにっこりと笑う。
「さ、ビーニャ。まずは召還獣を送還してください」
「はぁい」
「キュラー生きていますか?」
「・・・一応は・・・」
「では。そのへんの道端に倒れていたガレアノを連れてきて下さい。家の修復お願いします」
「承りました・・・」
「さ、ビーニャ」
「はぁい。レイムさまぁ?」
「参りましょうか」
「・・・どこにですかぁ?」
「お仕置き部屋ですvv」
ビーニャの顔の色がいつもよりも真っ青になる。対してレイムはにっこりと笑ったままビーニャを肩に担ぎ上げた。
「では、キュラーあとは頼みました」
「・・・はい」
「え、や、レイムさまぁ!?ちょっ、まっ!!」
「待ちません。遠慮もしません。手加減も、しませんよ?」
「ひっ・・・!!」
きっとビーニャにこんな顔をさせることができるのはレイムだけだろう。
二人は、壮絶(一方的)鬼ごっこの被害を受けなかったレイムの自室へと消えていった。



数秒後。



「いやぁああぁぁぁぁぁぁぁああ!!!ごめんなさぁい!!レイムさぁまぁあぁぁあぁぁああ!!
もうしませんっ!!ちょっと今日は度が過ぎましたぁ!!もうしませんしませんからぁああぁ!!
家壊しちゃってごめんなさぁぁぁあいい!!直します、え?!しなくていい?!いえいえいえ!!
っていうかぁぁああ!!それしまってくださぁああい!いやです!やめてください!!痛い!!!
きゃああああああああああああっ!」


直にそんな謝罪の叫び声も収まった。
穏やかな午後が流れ始めた。

「・・・平和だ・・・」

そんなことをキュラーが呟いた。



















あとがき。

 2222HIT 感謝ですぅ!!
 ビーニャまみれとのリク。
 はい。ビーニャ祭り。・・・壮絶(一方的)鬼ごっこ・・・かなり一方的。
 こんなんでよかったかしらん?
 狐火 鬼灯さまに捧げいたします。ご献上。
 
 ギャグでいきました。
 お仕置きは想像にお任せします。

 じゃ!!





                                                                                          (c)POT di nerezza A.Y I.A H.K  
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