「いっちごぉぅぅうううう!!!」
 「うぉっ!?」

 そのオレンジ色の髪は人ごみの中でもよく目立つために、見つけやすくて助かる。

 「なんだよっ?!」
 「いやあ。探したよー」
 「…あのなぁ」

 そのブラウンの瞳に私が綺麗に映る。

 「いざ、尋常に勝負!!」

 その大きな背中は私を容易く乗せて、体勢を崩すことは無い。








 



 君のスベテ














 「断る」
 「えぇぇぇぇぇぇえええええ?!?!?!」
 鼓膜に直に響くその声に思わず耳を塞ぐ。
 「うるせぇなぁ…。とにかく俺はお前と戦わない」
 「なんでよぉなんでよぉ。一護とならすっごい楽しそうなのにぃぃいい」
 一護の背中に張り付いているのは、剣八率いる十一番隊に所属する水羅朝羽。
 根っからの戦闘好きで今もこうやって隊長格を倒した一護に戦いたいとねだっている。
 何度も何度も言っても返ってくる言葉はいつも同じ。

 「断る」

 その度にしつこくしつこく頼むも、一護は折れてくれない。上手い具合にまかれて結局断念する。
 「一護現世にかえっちゃうんでしょ?!その前に一回戦ってよぉ!!」
 「い・や・だ。断る。離れろ」
 「隊長も楽しいって言ってたぁ、斑目さんも楽しいって言ってたあ、射場さんも戦いたいって言ってたあ」
 「…なんだその十一番隊面子は…」
 「いや、もうすごい人気。楽しいって人気。あそこまで隊長が固執するの初めて見た」
 「…ああ。そうかよ…」
 だからこそ、朝羽も戦いたいと思うのだ。
 一護の強さを知りたい。一護の戦い方を実感したい。そのためにいくら傷つこうとも構わない。
 それだけの覚悟があるのに、一護は首を縦には絶対振らない。
 「…むぅ…」
 「いい加減離れろ、朝羽」
 「いやーぁ」
 一護の首に強く抱きつく。やちるには劣るものの彼女もかなり小柄な方である。
 「…あ、じゃあさじゃあさ」
 「なんだ?」
 「勝負してさ、勝てたら勝者の言うこと何でも聞くってのはどうよ?」
 「…何でも?」
 「そう」
 少し考え込む一護を見て、朝羽は『これはいけるかも…!』と淡い期待を抱き胸を躍らせ止めの一言を言った。
 「敗者に拒否権はなしってことで!!」

 その時一護は朝羽に見えないように、不敵に笑った。
 
 「いいぜ。やってやろうじゃん。その勝負」

 朝羽がその小柄な体を躍らせて喜んだのは言うまでもないだろう。
  














 「ようしぃ!!尋常にしょーーーーーーーーーーーーーーうぶっ!!」
 「なげぇ、うぜぇ」
 「ひっ酷い!!」
 「一応確認しとくぞ」
 「なんでぃ?」
 ふふんと今にもまた踊りだしそうなハイテンションの朝羽に対し、少し面倒くさそうにしていてもなんだか楽しそうな一護。
 斬月を朝羽に向ける。
 「俺が勝ったら何でも言う事聞くんだな?」
 「女に二言はない!!しかもあたしは十一番隊だ!!」
 「よしっ」
 「そっちもだからね。あたしが勝ったら言う事きいてもらうかんね♪」
 「おう」
 と、口頭での賭けの約束を確認した。
 いつのまにか野次が決戦場に集まっていた。無論十一番隊面子も其処にいた。
 しかし誰がどうみても、なにが起こってもそれは奇跡でもない限り…

 勝負の結果など目に見えていた。



 数分後。




 「くーーーーーーーーーーやーーーーーーーーーーしぃーーーーーーーーーーーー!!」
 「ふんっ」
 「むむぅ…」
 晴天の空に向かい叫び、勝者に向かって睨みをきかせる朝羽。俗にこれは負け犬の遠吠え、という。
 「なんでぇなんでぇ!!なんで勝てないのぉ!!」
 「俺の方が強いからだろ」
 「むぅ…やっぱ隊長格倒せるんだから…無謀だったか」
 今更なこという朝羽。勝負を売る前に気付け、と傍観していたものは思った。
 「さ、朝羽。約束聞いてもらうぜ」
 「え?なんのこと?」
 「とぼけんな」
 お決まりの返事をしてみても呆気なく流された。これはもう逃れ様がない。なんせ約束の証人はいっぱいいる。
 「…わかったわよ。ここで逃げちゃ女が廃るわよね…」
 刀をしまい、覚悟を決めた朝羽は一護に向き直る。
 「さ、どうすればいい?隊長の鈴でも取ってくる?それともやちる副隊長とかけっこ?それとも朽木隊長とにらめっことか。
 乱菊副隊長と酒盛りデスマッチ?十一番隊デスマッチとか」
 自分で言っててだんだんと悲しくなってきた。そしてやけくそになっていく。
 気分はずんずんと沈んでいく。
 「いや、どれも違う」
 「…じゃあなによ」
 「今日一日俺の言うことに一切文句を言わずに付き合ってもらうぞ」
 「……それって一番苛酷じゃない?なに、意外とサド?いじめっこ?」
 「うるせぇな。約束は聞いてもらうぞ」
 「…わかったわよ!!」
 仕方がないので腹を括って、今日一日一護の召使となった。
 「よし。行くぞ朝羽」
 「さっそくぅ?!どこにぃ!!」
 「行くぞ」
 「…はぁい」
 さて、一日どんな罰ゲームを何回させられるんだろう、なんて呑気なことに頭を巡らせていた。
 でも、一護の目的はそんなものじゃなく、ただ一点。
















 「いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい、一護ぉぉお?!」
 「なんだよ」
 「な、なにしようとして、る…の?」
 「今日のお前に拒否権はなし」
 「…えぇぇええ?!ちょっ、やっ…」

 どこにつれて行かれたかって?
 それは倉庫で。

 何をされそうかって?
 貞操の危機ですよ!!

 「いいいい、一護さん!!ちょっと待とう!罰ゲームにしちゃ度が過ぎるよ!!」
 「嫌なのか?」
 「嫌とか云々の前にね!!」
 とになく色々と必死になんとかこの行為を止めようと朝羽は奮闘していた。
 倉庫についた途端に手頃な高さの箱の上に座らされたかと思ったら、死覇装に手をかけられていてすでに肩まで脱がされていて、抵抗をしてもそれは無駄で。
 どうにも朝羽には手のつけようがなかった。
 「な、なんであたしの貞操を奪おうとするわけ?!」
 「今日一日お前は俺の好きにできるから」
 「それだけ…で、するの?」
 それはなんだか悲しい。都合のよい性欲の捌け口にされているみたいで。
 「それだけだと、思うか?」
 「…ふぇ…?」
 半泣き状態に陥りそうになっている朝羽の情けなく半開きになった口に、舌を絡めるように接吻をした。舌を絡めとり口内を侵していく。
 「…ん…っふぅ…」
 肩まで脱がした死覇装をこれ以上脱がされまいと押さえていた手をゆっくり解いて、指の間に指を絡めた。
 「い…ちごぉ…?それだけ、じゃ…ない、の?」
 甘ったるい声が一護の鼓膜を震わせて、甘い振動が脳へと届く。感情を揺さぶり、体を本能のままに動かす。
 「…今日が終わったら、教えてやるよ」
 「…ずるっ…いぃ…」
 決闘を申し出てきたあの威勢のいい朝羽は消えうせて、『女』の朝羽が顔を覗かせていた。
  誰かが言っていたな。
  女はいつも蕾で咲いているように見えても咲いていなくて、実は男の腕の中にいるときにこそ『女』は咲くものだ。
  って。
 
 あながち嘘じゃないかもな。なんて一護はふっと思っていた。

















 「…っあ…ひゃぁあ…」
 少しひんやりとした外の空気に触れ、朝羽は体を震わせた。明るみになったふくよかな胸を一護に弄ばれるとなお体を震わせた。
 「…一応聞くけど…」
 「な、に…ぃ?」
 「…初めて?」
 「……………………ううん」
 「ま、そうだよな」
 生きている時間が死神と人間は違うから、仕方のないことだろう。見目は朝羽の方が年下に見えても、生きている時間はあっちのほうが長いものだ。
 「で、でも…そんなに経験豊富ってわけでもないからね!慣れてるとかそんなんじゃないからね…っ?!」
 「わかってるよ。お前がそんなに経験豊富だったら逆に驚く」
 「…それ、微妙にひどぉぃぃいい…」
 ぷいっと朝羽は顔を背けた。一護は軽く笑いを漏らすと、首筋に軽く痕を残した。
 「…っ…」
 「でも、感度は良さそうだな」
 「…んにゃあ…」
 猫みたいな奇声を発して頬を紅く染めた。とても可愛らしくて愛しく感じられた。
 袴の帯を解いて、袴を床へと落とす。ぱさりと乾いた音がして、しなやかに整った脚が姿を覗かせた。
 「脚開いて、朝羽」
 「…なっ…?!」
 「命令」
 「…うぅっ…」
 今日は一護に絶対服従の朝羽は、恥ずかしさに頬を染めながらもおずおずと脚を開いた。
 経験豊富ではないと言っていたのは嘘ではないようだ、陰部は鮮やかなピンク色をしていた。
 股間に顔を埋めて一護はそこを舐め始めた。
 「んっ…?!いちっご…汚いよぉっ!!」
 「むしろ綺麗だけど?」
 「や、やぁ…やめてよっ…」
 そんな朝羽の淡い抵抗など無視をして、一護は構わずに行為を続けた。
 微かな水音が鼓膜を震わせると、そこからぞくりと体全体を痺れさせる熱が発生するようだった。
 「も、もうっ…いいよぉ…」
 耐えるに耐えられない。どうしてかものすごく恥ずかしくて一護の顔を直視できない状況にある。
 「じゃあ…朝羽からキスしてくれるか?」
 「…ふぇぇええ?!」
 「いやなら続けるぞ?」
 「…う、うぅ…意地悪っ!!」

  でも、仕方ない。そうよ、仕方ないのよ。

 と、自分をなんとか納得させて一護の頬に自分の手を添えて、ゆっくりと唇を重ねた。自分からするなんてそうないことだ。
 短いキスは名残惜しそうに離れ、朝羽はすぐさま顔をそらした。
 「こ、これでいいんでしょっ!!」
 「いちいちはずかしがんなよな」
 「…い、いいでしょぉ…別に」
 「ま、いいけどな」
 一護はソコが十分に濡れたことを確認した後に、自分の袴を脱いでそれを取り出した。
 「…ねえ…一護…」
 「なんだ?」
 「…一護…あたしのコト…好き…?」

 「今日が終わったら、教えてやるよ」
  
 そう一言だけ言った。
 それを言われたら何も言えなくなる朝羽は、おとなしく一護を受け入れた。

 「…絶対だからね」
 
 一言だけ。
 それだけ言って。一護を信じて、体を許した。




















 「…あっ…ああっ…いちごぉっ…」
 「朝羽っ…」
 「ひぁぁ…」
 か細く悲鳴似た喘ぎ声を上げる。濡れたソコはあっさりと一護を受け入れ、ソレを締め付けた。
 心地よい締め付けに眉を顰めながら、一護は静かに律動を開始した。
 その動きに合わせ朝羽は小さく声をあげる。まだどこか恥ずかしいのか声を抑えているように思えた。
 だがそれは激しさを増すにつれ薄れていき、絶頂に達する直前には声を抑えることなど忘れているかのようにないた。
 「…っつ…ああっやっ…」
 朱に染まる頬に涙が伝って小さく落ちる。
 「…っもう…むりぃ…」
 か細く自分の限界を訴えた。従う立場である朝羽の訴えを一護はふっと軽く笑んで受け入れた。
 「…あぁぁっ…」
 朝羽のナカで吐精をする。熱い飛沫がナカで弾け、ゆっくりと朝羽のナカを満たしていく。
 「…ん………」
 軽い昂揚感と開放感、そして満足感が心と身体を満たしていた。
 「…朝羽」
 「…なぁに…?」
 「まだ終わんねーからな」
 「…わかってるよぉ…っ」
 少しむくれ気味に答えるも、それは心とは裏腹で心は一護を絶えず求めていた。
 身体も求めている。
 出来るなら、いつまでも繋がっていたい。
 そう願ってしまうほどに。
 



























 「………ん…?」
  目がさめたら、夜中で。
  なんでか布団の中で。
  …一護が隣で半裸で寝てる…?!
 「きゃっ…!!」
 「騒ぐな叫ぶな、他の奴らに迷惑だろ」
 「ひひごっ?!ふぁにしてふの?!(一護?!なにしてるの?!)」
 口を大きな手でふさがれて、月明かりが窓から差し込んでいるだけであまり顔は良く見えない。
 朝羽はいまだ困惑状態で、目がくるくると廻っている。
 「…お前、覚えてないのか?」
 「…ふぇ?ふぁんのふぉ………?!」
 言葉を途中で止めた後、思い出したのか顔を真っ赤に染めた。
 「〜〜〜っ!!」
 「お。思い出したか?」
 「…!!(こくこく)」
 勢いよく縦に頷き、一護に手を離して欲しいとジェスチャーで訴えかける。
 一護は手を離し、布団の中で頬杖をついて朝羽を見ていた。
 「…あ…ああ…あたし…その…」
 「気失ったから運んだ」
 「…や、やっぱ…り?」
 羞恥心でまたさらに紅くなる。一護はそれを見て面白そうに笑んでから、言った。
 「もうちょっとで今日が終わるな」
 「…ん…?あ、そうだね…」
 今日が終わるまで、あと三十秒程度。
 「で、聞きたいことってなんだっけ?」
 「ぅえぇ?ええっと…」
 
 あと20秒

 「そうそう!!二つあったけど、一番聞きたいのは」
 「おう」

 あと10秒

 「一護は…あたしのコト好き…っ?!」

 時計の長針と短針が重なった。

 今日が、終わった。

 「ああ。好きだ」

 頬が真っ赤に染まっていく、涙腺が弱まって涙が溢れていく。

 「…なに、泣いてるんだよ?」
 「だ、だって…嬉しくて…っ!!一護とあたしは世界が違うし…一護もあたしもずっとに居れる訳じゃないし…!!
  …なのに…すごく嬉しくて…っ」
 「おかしい奴」
 「…う、うるさいぃ…」
 「で?朝羽は?」
 「…ふ?」
 「俺のこと好きなのか?」
 「……わか、ってて…きい、てる…でしょ…」
 朝羽は途切れ途切れに言葉を紡ぐ。頬を依然真っ赤で涙は流れっぱなし。
 一護は意地悪そうに笑んで、朝羽の返答を求めた。
 「で?」
 「…う…うぅ…っ。す、き…好き…です」
 「…ん」
 満足そうに笑んで、泣きつづける朝羽を抱き締めた。朝羽は一護の腕の中、幸せそうに目を閉じて再び眠りについた。







 君のスベテ
 僕のスベテ

 スベテは二人のために。







あとがき

4000HIT THNKS!!
長らくお待たせいたしました!!
一護夢献上いたします!!

…ううん。似非さがどうも抜けなくて…。
まぁ、一護はこんな感じです。
今回の主人公は結構お馬鹿さんです。
でも違う視点で見ると策士かもしれませんね。
こんな感じでできあがりました!!
鬼畜、シリアス、ときたので少しギャクというか明るい感じで仕上げました。
あ、誤字脱字あれば…直しますゆえご報告ください。

はい。では。
…これがまた貴方の妄想の糧となればいいなと思いつつ…

再び感謝!!


夜月哀那




                                                                                          (c)POT di nerezza A.Y I.A H.K  
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