■壱萬打感謝フリー小説。

 
 闇鍋壱萬打を感謝して配布していた小説です。
 
 配布は終了しました。お持ち帰りはなさらないでください。











<テニスの王子様>



「跡部〜」
「あぁん?なんだよ、忍足」
「卒業おめでとう♪」
「…お互いにな」


三月。私立氷帝学園の卒業式。
俺達は中学を卒業した。
まぁ、高等部へのエスカレーターだから面子はさして変わらない。
式後に忍足が俺に話し掛けてきて、二人でテニス部の部室に向かう。
後輩達が送別をしてくれるらしいんでな。


「早いもんやなぁ〜」
「そうだな」
「なんや色んなことあったな」
「そうだな」
「三年間跡部や皆とテニスやれて楽しかったわ」
「ああ。そうだな」
「…さっきからそればっかやなぁ?他になんかないんかい」
「あぁ?あるわけないだろ。またテニス部に入って、俺達はまた一緒に同じ高みを目指すんだろ?」
「…せやな。そやったわ。お別れやけどお別れやないんやもんね♪」
「だからお前は俺様の隣にいろ、いいな」
「勿論や」


譲らせるかちゅうねん。
自己中でわがままで、寂しがりで意外と泣き虫な愛しい愛しい帝王様の元をなんで俺が離れなアカンねん。
離れろ言われたかれ離れてやらへんからな。
跡部は当然だ、という顔をして満足気に笑った。
その笑顔が大好きや。


「氷帝はもっと強くなるんかな」
「…なってもらわなきゃ困るんだよ。俺たちの後が弱いんじゃ笑えないだろ」
「せやな」


常に己の高みを目指してもらわなきゃならねぇ。
弱くなる?冗談じゃない。
俺たちは弱くなんかない。
だから強くなれ。追って来い。俺たちを超えて見せろ。
超えたそんときゃ『よくやったな』って誉めてやるよ。
だから、強くなれ。もっともっと、高みを目指せ。


「…でも少し寂しいなぁ」
「…そうか?」
「せや。やっぱ今までとお別れなわけやし。また始まるんいうんも楽しいけど、やっぱ寂しいなぁ」
「そうだな…」


今まで当たり前にあったものはもう『当たり前』じゃなくなる。
また新しい『当たり前』ができて、それが当たり前になってくる。
人生そんなのの繰り返しや。
何度も何度も繰り返して繰り返して。
それでも。
変えたくない『当たり前』が今俺の隣にいる。


「…なぁ、樺地はどないするん?」
「…ああ…どうしような」
「考えてないんかい!」
「別にどうとでもなるだろ。それに一年でそんなことするわけにもいかないだろ」
「…ま…そうかもしれへんけどな」


ごちゃごちゃそんなこと考えたくない。
ただとりあえず今は俺の隣にいるコイツを
変わらずに俺の隣に居てくれると言ったコイツを
テニスの仲間として以外でも隣に居てくれるかを確かめないと。
俺の、大切な…恋人として。


「なぁ、景吾」
「い、いきなり名前で呼ぶなっ!」
「ええやん。細かいこと気にせんとき?」
「…なんだ」
「これからも俺の隣にいてくれる?恋人として、俺を傍に置いてくれる?」
「………」


恋人として
君を求めてやまない

幾度心も体も重ねても
満たされない

常に君が必要なんだ

それはまるで空気のように

常にそこにあってもらわなきゃ

それは生死に関わるんだ


「…当然だろ」
「ほんま?!」
「この俺様が嘘を言うと思ったのか!!」
「いや、そんなことあらへんねんけど!…ありがとなvv」
「…ふんっ」
「大好きや、景吾!!」
「抱きつくな叫ぶな鬱陶しい!!!」
「景吾も言うて?な、言うて?」
「無視か」
「ええから言うて。もう部室ついてまうやろ。ほら、はよ言うて。景吾」
「…ったく…」


視線はまっすぐ。
顔は仄かに赤く。
桜色の唇が小さく動く。


「…好きだ、侑士。俺の以外のとこにいくな」
「…任せといてvv」


これからもずっと、君のトナリが俺の特等席






FIN












<サモンナイト2>





「バルゥ〜vv」
「だぁっ!!鬱陶しい!!一体なんの用だ!」
「いや別になにも?」


にっこりと笑顔でそう言い放つマグナ。
こめかみに青筋を浮かべマグナを睨みつけるバルレル。
いつもと変わらない日常風景の一幕。


「バル可愛い〜vv」
「うるせぇうるせぇ」
「可愛い可愛い可愛い〜」
「…うるせぇ」
「可愛い可愛い可愛いだいす「だぁぁああっ!!!いい加減黙れ!五月蝿い!!」
「ちぇっ…つれないなぁバルは…」


仄かにバルレルの頬が赤い。
毎度毎度のことなのに体も心もそれには慣れてくれずにいつもこうなってしまう。
そんなバルレルの様子を見て、微笑むのがマグナ。


「…で、なんの用だ」
「だから用はないって言ってるじゃん」
「用も無しに呼ぶなっつったろ!!」
「がふっ!」


腹にストレート一発。痛恨ヒット。
思わず腹を抱えてうずくまるマグナ。
ふんっ、と得意気にバルレルは鼻を鳴らす。


「…いい拳だよ…バルレル…」
「ふんっ。槍で刺されなかっただけありがたいと思え」
「…だねぇ…」
「おい、マグナ」
「なぁに?」


くるん、と表情を180度変えてバルレルに向き直るマグナ。
何だこの変わり身の早さは、と呆れつつもこう言い放った。


「今すぐ跪け」

「…はぃ?」

「ひ・ざ・ま・ず・け」

「…は、はい…」


二回目の跪けの後に、ささやかな悪魔の高笑いが聞こえてきたのは気のせいだろう。
とりあえず言うことを聞いてその場に跪くマグナ。
召喚士と召喚獣の関係から言えば、逆なはず。はずなのに。


「用も無しに俺を呼ぶんじゃねぇ」
「…はい」


しかも命令されている。


「…お前がちゃんと用があるなら聞いてやるからそう何度も何度も何度も呼ぶな」
「…うん」
「…恥ずかしいだろが…」
「…うん…って、え?」
「いいか?!わかったな!!俺に二度とこんなこと言わせるんじゃねぇぞ!!」
「え、あ、はい!!」


マグナが立ち上がる前にバルレルはくるりと踵を返し歩き始めていた。
小さく尻尾と翼がゆれている。
けっ、と小さく声が聞こえた。


「…かーわいいー…♪」


愛しくたまらなくて
すぐにふてくされたようなその背中を追いかけた。







FIN
 










<D-Grayman>



愛してるのコトバ
 
 
 
「好き」
 
痛いくらいに抱きしめられて、つむがれるのは愛のコトバ。
 
「愛してる」
「…知ってる。何回も言うな。」
 
そっけなく返すのは、照れ隠し。
 
「ずっと一緒ですよ?神田」
「知るか。」
 
素直じゃないな、なんてモヤシがほざく。
うるさいやつだ。
 
「キス、してもいいですか?」
「舌入れたら噛み切るぞ。」
「えぇ!?」
 
それは困ります、だと。
当然だろ。
クソモヤシ。
 
「じゃないと、ユウに好きっていえなくなるじゃないですか。」
「…知るか…」
 
ん…?
こいつ、今…
 
「それでもいいんですか?ユウは。」
「…」
 
ユウって…
しかも、さりげなく、ものすごく恥ずかしいこと言わなかったか…?
 
「言葉がなくても伝わる、って思ってくれてるならいいんですけど。」
 
……ねぇ、ユウ?
耳元で、吐息まじりにささやかれる。
ゾクリ、と肌が粟立った。
 
「るっせぇ!このクソモヤシハゲモヤシ変態モヤシ!!!!」
 
ガァンッ!
 
「グフゥッ!?」
 
後ろから抱きしめてきてたモヤシに、思い切り頭突き。
俺自身も若干痛いが、まぁ気にしない。
 
「ユ…ユウ…」
「下の名前で呼ぶんじゃねぇ!変態モヤシがぁ!」
 
俺は憤然として立ち上がり、鼻を押さえてうずくまるモヤシを置いて部屋を出た。
 
 
 
 
 
 
「くっそ…」
 
顔が赤いのがわかる。
あんな餓鬼に、心乱されるなんて。
俺は、馬鹿になったのか…?
 
たまに、本気で心配になる。
 
「…クソアレン…」
 
いつか、いつか本気で舌を噛み切ってやる。
 
 
 
『愛してる、ユウ』
 
 
 
あの心地よい声に飽きたら、絶対に、だ。
 
だから、アイツは俺がその声に飽きるまで、せいぜい愛を囁けばいい。
 
 
 
 
 
FIN
 












<BLEACH>




「イヅル〜」
「なんですか、隊長」
「ちょっとお出かけしよ?」
「駄目です。まだ仕事がこんなにあるでしょう?」
「イヅルはかたいな〜…少しくらいあってもどうにかなるやろ?」
「なりません」


きっぱりとそう言い放ったものの、このパターンできて回避できるかといわれればそうはいかない。
何せ相手は三番隊隊長市丸ギンなのだ。


「どうしてもだめ?」
「…駄目です」
「よぉわかったわ。せやったら…」


きた。
きた。
やばい展開だ。


「イヅルを連れて、甘味どころに行くとするわ☆」
「なんの解決にもなってませんから隊長!駄目ですよ、仕事してください!!」
「…イヅル」
「…は、はい…」


真剣な顔で詰め寄られると黙ってしまうのが僕の悪い習性だ。
薄く開いた赤い目が僕を縛り付ける。


「ええこやから一緒にいこ?」
「…だ、だめ…です…」
「イヅル。もういっぺんしか言わんからよう聞き?」
「はい…」


ああ。これはもう駄目だな。
だって、もう、動けない。
視線で縛り付けられる。目が逸らせない。自然に手を伸ばしてしまいそうな、不思議な感覚。


「ええこやから、一緒にいこ?」


優しく甘ったるい声。
陽光に照らされて透ける銀色の髪。赤く光る双眸。筋張った手腕。


「…は、い…」


もう頷くしかない。
そうしたらこの人は満足そうに笑って、僕の頭を優しくなでる。


「じゃ行こうか♪今日は何を食べようかな〜♪」


ああ。ごめんなさい。三番隊の皆。
今から隊長とその副官は甘味どころへと行きます。
ごめんなさい。すいません。
僕は、この人に刃向かえないんです。

なぜなら…


「あ、イヅル」
「なんですか…?」
「いつもボクの我儘聞いてくれておおきに」


弱いんです。
この人に。
黒くて、でも優しくて、子供っぽくて我儘で自分勝手でどうしようもない人なんです。
でも、それでも、この人が。


「イヅル、好きやで」


「…僕も、です」


愛しい。
愛しくて堪らないから
結局どんな我儘でもきいてしまう。

大好きです。
隊長。






FIN







                                                                                          (c)POT di nerezza A.Y I.A H.K  
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送