もつべきものは下僕友です。




「ねーえー…。」
「どうかしましたか?」
「ねーえー…。キュラーちゃーん…。」
「…だから。どうしたのですか?」
「ねぇ、レイム様はーーー?」
アザラシのような魔獣をクッションがわりにしながら、ビーニャは暇そうな同胞達に尋ねた。
尋ねられた側の暇そうなキュラーは、同じく暇そうなガレアノと
目を合わせて肩をすくめてみせる。
最近彼女のこういった質問はめずらしいのもではない。
だからこそ2人はこうして目を合わせてしまったのだ。
「さて…。自室におわれるのでは?」
「いなかったよー…。ガレアノちゃんは?知らない?」
「あ、ああ…。知らんな…。」
唐突に話をふられたガレアノはとっさにそう答えた。
実際のところ、彼はレイムが「少し出掛けてきますね。」とか言って屋敷を出て行ったのを知っていた。
だけど、クッションがわりの魔獣の身を案じてこの場はこう答えたほうがいい
という彼なりの判断だった。
だから、内心少しあせっているのを冷たい表情で覆い隠して、サラリとそう言ったわけだ。
「本当に知らないのぉ?」
「本当さ。」
「…そんな焦りながら言っても説得力ないよ?」
「う…。」
仮にも彼女は悪魔だ。
いくら冷めた表情をしていようとも、心の動揺という感情の起伏が
悪魔にわからないわけがない。
ガレアノは渋々、事実を白状せざる得なくなった。






「ぜラムに!?」
「たしか。」
どうやら彼らの主は聖王都ゼラムに出掛けたらしい。
それも、いつものように吟遊詩人の振りをして。
「ってことは…。ってことはレイム様は…!!」
事の重大さに気付いたビーニャはガバッと起き上がった。
クッションからのうめき声が聞こえた気もしたが
彼女に耳には入らない。
「またあの小娘の所に行ったってワケ?!」
あの小娘、というのはおそらくトリスのことだろう。
レイムは彼女たちのところへよく足を運ぶ。
「ムカツク…。」
「…ビーニャ?」



「ムカツクムカツクムカツクムカツクムカツクムカツクゥ!!」



ガッとクッション魔獣をつかむとすべての怒りをぶつけるようにしてそれを床にたたきつけた。
クッションは面白いようにバウンドして最終的にはビーニャのところに戻ってきた。
「なんなのあいつ!なんなのあいつぅぅ!!!」
ガンガンとクッションの頭を闇雲に殴る。
殴られつづけたクッションは緑の光となってシュッと消えてしまった。
「レイム様のお気に入り…。きにくわなーい!!」
「まぁまぁビーニャ。」
バタバタと暴れるビーニャをキュラーが宥めた。
「所詮あの娘は人間…。貴方とは生きている時間が違います。」
「それにレイム様はあいつを利用することしか考えておらんよ。」
「そぉかなぁ…?」
「そうですとも。」
ビーニャは黙りこくって考えているようだった。
それでも、しばらくしてから
「そうね。そうだよね。そうだよね!!キャハハハハハハハハッ!!」
と、何事もなかったかのように高笑いの声を響かせていた。
「満足ですか?」
「うん!!やっぱもつべきものは下僕友だねぇーー。」
「…何。その棒線。」
「キャハハハハハ!!」
喜びながら彼女はスキップをしてどこかに消えてしまった。
キュラーとガレアノは再び暇な状態に戻る。
多少難はあるけれども




これが彼女達の日常。







▽あとがき▽

3悪魔です。愛してます。
やっぱビニャが一番だけど他の3人だって
愛してるさv






                                                                                          (c)POT di nerezza A.Y I.A H.K  
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